
この記事は、わが家の猫ロイ(マンチカン・2011年生まれ)が2022年1月に慢性腎臓病と言われてから、通院が要らなくなるまでの記録です。
先に、大事なことを書いておきます。
- ここに書くのは「うちの猫の場合」です。治療の内容はすべて、かかりつけの獣医師の指示で行いました
- 輸液の量や回数、薬は猫ごとに違います。この記事を見て真似をするのではなく、必ず獣医師に相談してください
- 「治った」という言葉は使いません。慢性腎臓病は治る病気ではないと説明を受けました。ロイの場合は「数値が安定して、輸液と通院が要らなくなった」が正確です
それでも書くのは、2022年の1月に、私たちが「猫 腎不全 ブログ」と夜中に検索して、同じような記録を読んで少し救われたからです。
前回までのあらすじ
前の2本の記事(それは突然の出来事でした・ロイ病院に行くの巻)で書いたとおり、ロイは急に元気がなくなり、ご飯を食べなくなりました。いつもは引くほど遊ぶレーザーにも反応しない。翌朝いちばんで病院へ。
1. 発覚した日の数字(2022年1月8日)
血液検査の結果で、獣医師が赤丸をつけたのが2か所ありました。
| 項目 | ロイの値 | 正常値(検査報告書の記載) |
|---|---|---|
| BUN(血液尿素窒素) | 66.8 | 17.6〜32.8 |
| CRE(クレアチニン) | 5.61 | 0.90〜2.10 |
どちらも腎臓の働きを見る数字で、正常上限の2倍から3倍。あわせてリン(P)が7.0と高く、カリウム(K)が3.1と低い。「慢性腎臓病です。今日は入院して点滴をしましょう」と言われました。

獣医師からはステージの説明は特にありませんでした。あとで調べると、猫の慢性腎臓病には国際的な分け方(IRISのステージ1〜4)があり、クレアチニンの値で見ると5.0超はステージ4の範囲です。ただし脱水や急に悪くなった時の値では判定しない決まりなので、ここでは数字だけを載せておきます。
2. 入院は1日、そこから自宅で輸液の日々
入院は1日だけでした。翌日の数値はBUN 58.0・CRE 4.95、3日後の1月11日にはBUN 46.1・CRE 3.31まで下がりました。点滴で体の水分が戻ると、数字はこんなに動くのかと驚いたのを覚えています。
ただし、ここからが本番でした。獣医師の指示は「自宅で皮下輸液を1日2回」。
- 輸液のセット(輸液バッグ・チューブ・針)は病院から処方
- 温め方、刺す場所、押さえ方は病院で教わった
- 最初の1〜2週間は数日おきに通院して血液検査
わが家は3人がかりでした。役割分担はこうです。
| 役 | やること |
|---|---|
| 保持役 | ロイを抱えて、動かないように押さえる(声をかけ続ける係でもある) |
| 針を入れる役 | 首の後ろの皮をつまんで、皮下に針を入れる |
| 輸液を送る役 | 針が入ったら、輸液を押して体に入れる |
初めて針を刺した日は、怖さもありました。それでも「自分たちがやるしかない」という気持ちのほうが強くて、3人で声をかけ合いながら何とかやり切ったのを覚えています。1人でやろうとすると、猫が動いた瞬間に針が抜けます。3人いたのは本当に助かりました。
実際、1週間後の1月15日はBUN 65.3・CRE 4.29、1月22日はBUN 58.7・CRE 5.2と、点滴直後ほどは下がりませんでした。自宅の輸液は「下げる」というより「これ以上悪くしない」ためのものだと、このとき分かりました。
3. いちばんつらかった1月末、貧血
1月29日の検査で、今度は別の数字に丸がつきました。
| 項目 | ロイの値 | 正常値 |
|---|---|---|
| HCT(ヘマトクリット値) | 21.3% | 30〜45 |
| Hb(血色素量) | 7.4 | 8〜15 |
腎臓病の猫に起こる貧血だという説明でした。獣医師から鉄剤が処方され、輸液と一緒に飲ませる日々になりました。
獣医師の説明は「輸液で体の水分量が増えると、血が薄まって貧血の数字が出ることがある」というものでした。正直、このときは貧血のことがよく分かりませんでした。腎臓病の猫は腎臓が赤血球を作る指示を出せなくなって貧血になる、と聞いたのはもう少しあとです。
このころのロイは、椅子に飛び乗ろうとして失敗するようになっていました。「これはいけない」と病院に連れて行った検査で、この数字が出ました。
4. 2月、はじめて正常域に入った数字
2月16日。BUNが29.8と、発覚後はじめて正常値の範囲に入りました。CREも2.69まで下がり、貧血の数字も少しずつ上向き(HCT 23.7・Hb 8.4)。
変えていたのはこの3つです。
- 自宅輸液を獣医師の指示どおり続けたこと
- ご飯を腎臓病用の療法食「ロイヤルカナン 腎臓サポート」に切り替えたこと(獣医師にすすめられたもの。以後ずっとこのご飯です)
- 水を毎日、浄水器の水に取り替えるようにしたこと
飲む量が増えたのは事実です。ただ、浄水器の水が美味しいからなのか、同時に水を置く場所を増やしたからなのかは、正直分かりません。腎臓病の猫は水をよく飲むほうがよいと聞いていたので、「置く場所を増やす」と「水を毎日替える」の両方を続けました。
5. 輸液の回数が減っていった
その後の数値は、こう動きました。
| 日付 | BUN | CRE | HCT% | 自宅輸液 |
|---|---|---|---|---|
| 2022-03-20 | 46.3 | 2.65 | 30.0 | 毎日(発覚から約3か月は毎日続けた) |
| 2022-06-08 | 41.1 | 2.12 | 27.3 | 獣医師の判断で回数を減らしていた時期(細かい記録は残っていません) |
| 2022-07-09 | 42.4 | 2.58 | 29.1 | 同上 |
| 2022-08-07 | 36.5 | 2.36 | 30.6 | 同上 |
| 2022-11-02 | 37.9 | 2.18 | 32.9 | 同上 |
| 2023-06-07 | 35.1 | 2.56 | 39.5 | なし |
最初の3か月ほどは毎日続けました。数値が安定してくると、獣医師の判断で輸液の回数が減り、通院の間隔も開いていきました。最後は「輸液をしなくても数値が安定している」となり、そのまま通院も終わりました。
2023年6月の検査では、HCTが39.5%、Hbが13.1。貧血は発覚前の水準に戻っていました。CREは2.1〜2.6で、正常上限(2.10)より少し上のまま。腎臓病が消えたわけではなく、「この数値で安定している」というのがロイの今です。
6. かかった費用(うちの場合)
| 時期 | 金額の目安 |
|---|---|
| 発覚時(入院1日・検査・初回の輸液セットなど) | 約7万円 |
| 自宅輸液を続けていた期間 | 月1.5万円程度(輸液セット・薬・通院の検査) |
病院や地域、猫の状態で変わります。あくまで一例として。
7. ロイの今(2026年10月)
ロイは2011年生まれ、15歳になりました。ご飯は療法食のまま、水は毎日浄水器の水。病院には2023年の検査を最後に行っていません。
15歳になって遊ぶ量は減りましたが、体重は順調に増えています。お気に入りの寝場所は段ボールの上。季節や気温で寝る場所が変わるのは、昔と同じです。

次回
次の記事では、自宅での皮下輸液について、獣医師に教わったことと、私たちが実際に困ったこと(温め方・保定・嫌がったときの対処)を書きます。
この記事の数値は、動物病院の血液検査報告書をもとに飼い主が転記したものです。治療の判断は必ず獣医師にご相談ください。
